お気に入りの12Ｖ安定化電源装置のＤＡＩＷＡ ＲＳ－３００（作動不良品）を譲り受けて修理をしました。 ファンレスで静かな運用ができると定評のある電源です。 入手した段階ではＤＣ１３．８Ｖの出力端子に全く出力がありません。 回路図もなく全くの手探り状態で修理を開始しました。 唯一の大きな手がかりは正常に作動している同一機種がもう１台手元にあることです。 今回はこの正常品と比較しながら修理作業をしました。 |
故障状況 ・メインスイッチＯＮでパイロットランプは点灯する ・但しＤＣ出力はゼロＶ ・ＡＣトランス出力側の電圧は正常品と同じ ・整流トランジスター入口の供給電圧は23Ｖで正常品と同じ ・通電状況下で背面上側３個のトランジスタ（2ＳＣ3281が２個と2ＳＣ1173が１個）の出力を測定。 ３個のトランジスター全てがＣ（コレクター）に対してＢ（ベース）とＥ（エミッタ）の出力電圧が９Ｖと 低く、トランジスタが正常に作動していないらしい。（正常品は約２３V） |
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修理開始 上記状況から故障場所はトランスから出力した以降の回路と推定。 ○最も怪しいのはトランスに続くトランジスタ。 回路についたままでは評価が難しいので、先ず３個のトランジスタの足を全て中途でカットして （後でハンダ付けできる位置で）取り外し、電流計を使って簡易導通試験を実施。 ①最初にトランジスタ試験の定石通りテスターの黒端子をBにつなぎ、赤端子をC、続いてEに つないで各々導通抵抗を測定。数字のばらつきや差異はあるが導通することを確認できた。 KΩ KΩ MΩ
②続いて逆に黒端子をCやEにつないでC-E間、C-B間、B-E間が非導通であることが 確認できた。 ①と②の結果からトランジスタはほぼ正常な範囲内で再使用可能と判断。 一旦切り離した足を再度ハンダ付けして元に戻した。 |
足を切断して取り外したトランジスタ  元通りに足にハンダ付けして導熱シリコン グリスをつけて放熱板にネジで固定  |
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○トランジスタが正常であったことから、今度はトランジスタを固定する基板の裏側を観察。 ①右側トランジスタ2ＳＣ3281のＢ端子を接続していた基板の裏側のハンダがはがれて回路 から浮いて外れていました。 再ハンダによる基板上の再接続は不可能な状況なのでジャンパー線を使って左側の 2SC3281のＢ端子と接続。（右上写真基板上の白色ジャンパ線） ②その他のハンダ不良を発見。再ハンダ盛りを実施。 |
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○ここで再度電源スイッチを入れてＤＣ出力を確認。 残念！！！ ＤＣ１３．８Ｖの出力なし・・・・ あきらめか？？？ トランジスタ基板まではＯＫなのでそれ以降の回路を再チェック中、１３．８ＶのＶＲ調整用の トリマーの接触不良を偶然発見。 ドライバーで触ると時々ピコピコと表示が振れて出力が 出ます。４個あるトリマーの内の１個です。偶然とはいえ触ってみるべし、押してみるべしです。 ＶＲトリマーの復活を接点復活剤など使用して試みるがダメ。結局ジャンク在庫から代替用 のトリマーを探し出してきて、取り付け完成。 正常復帰しました。 半日掛りの作業でした。 |
交換後のＶＲトリマー |
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| ○今回の修理が素人でも成功したポイントと感じた点は？ ・比較参照できる正常良品が手元にあったこと ・手荒い測定で＋－の接続間違いがあっても壊れないデジタルテスターが手元にあったこと ・テスターを使って測定すべきポイントが容易に見つけられたこと （概略の回路と処理フローが想定できる範囲内だったこと） ・ハンダ不良やＶＲ接点不良を早くみつけることができたこと ・幸いトランジスタは壊れていなかったが、代替品が通販ですばやく入手できたこと ・運良くジャンク品トリマー在庫があったこと（取り外したジャンク品は捨てずに持っておくべし） ・トランジスタの良否試験方法をメモで記録していたこと などです。 でももっと大きかったのはラッキーだったことかな？ |
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| 事後の再修理（2011-3-1追記） 修理後６ケ月間放置していたらＤＣ出力電圧が再び６Ｖまで低下しているのを発見しました。 今まで①のＶＲトリマーだけ交換していましたが、②のトリマーの接触も不良になっている 事がわかりました。 やっぱりトリマーって接触不良を起こしやすいんですね。 『経年したトリマーは触らなければそのままだが、少しでも一回でも廻したら、いつかまた必ず 接触不良になる』との名言は本当でした。 この際残りの②～④の全てのトリマーも交換しました。 写真上側のトランスの上に取り外した元々のトリマーが写っています。 ＤＣ出力設定電圧が無事１３．８Ｖに戻りました。 これでしばらくはこのまま使えそうです。 元のトリマー → 交換品 ① ５ＫΩ？ ２２ＫΩ （①が１３．８Ｖ内部調整用ＶＲ） ② ５０ＫΩ ５０ＫΩ ③ １０ＫΩ １０ＫΩ ④ ２ＫΩ ５ＫΩ |
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